工場には50℃前後の温水がたくさん余っている。それに別の部署の方が気づいたのが、きっかけでした。50℃前後の廃温水の熱でボイラ給水を温める、新しい試みとなる製品開発プロジェクトが始まったのです。根幹を担うのは、熱を集めて運ぶヒートポンプ。その研究を先行して実施していた社員を含めた新しい設計チームが作られ、独自の熱回収システムの構築をめざすことに。
といっても、ヒートポンプはミウラでは未開の技術領域。入社2年目の私だけでなく、チーム全員にとっても、ほとんどゼロからのスタートでした。さらに問題はヒートポンプだけではありません。たとえば、廃温水は実際どのくらいあるのか。食品工場をはじめ、さまざまなお客様のもとへ出向き調査を重ねました。また、特許関連だけでも200件以上もの参考文献を、それこそ昼食時でも読みあさったり、冷媒の国家資格取得のために勉強したりもしました。
そうして手探りながら、プロジェクト始動から1年経たずに初号機を開発。しかし、その機能や品質、デザインなどには多くの課題が残りました。