三浦保について
三浦保 (1928-1996)
三浦保は1928年に松山市に生まれ、徳島工業専門学校を卒業し企業人となった後、父の後を継ぎ会社経営に携わります。1959年に(株)三浦製作所(現三浦工業)を設立後、たぐいまれな経営手腕を発揮して一代で同社を上場企業にまで高め、社会に貢献して来ました。
企業家として多忙を極める傍ら、日本古来の伝統である能、書、絵画を嗜み、能に関しては由緒ある国立能楽堂で『安宅』の武蔵坊弁慶を演じました。また1969年から始めた陶芸は特別な師を持たずに独学で制作を続け、晩年には全精力を傾注して取り組んだ独自技法の陶板画を制作し、その高度な芸術性は現代芸術の最先端といわれるニューヨークでも高く評価されました。
また、美術品のコレクターとしても知られており、「良質な美術品を、地域の人々や社員に紹介したい」との熱い想いで、国内外から優れた美術品の蒐集に取り組み、それらを展示する美術館建設に邁進しました。
三浦保(旧アトリエにて)
略歴
1928年 | 松山市に生まれる |
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1948年 | 徳島工業専門学校を卒業後、企業人となる 謡を習い始める |
1956年 | 観世流入門 |
1959年 | ㈱三浦製作所 (現・三浦工業㈱前身) を設立 |
1969年 | 陶芸を始める |
1972年 | 工房・窯炉第一号を建築 |
1975年 | 第二十四回愛媛県展に陶芸作品を出品(1995 年まで毎回出品) |
1977年 | 愛媛県美術館「やきもの三人展」(津川義雅・二神元・三浦保) |
1978年 | 三浦製作所(製造部門)が三浦工業(販売部門)を吸収合併、三浦工業㈱に統合 愛媛県生活文化センターにて茶会「三浦保五十盌会」を開催 |
1980年 | 愛媛県美術館・萬翠荘にて陶芸の個展開催(1985 年にも開催) |
1987年 | 藍綬褒章受章 東京・国立能楽堂で催された「藤井久雄傘寿祝賀能 安宅」にてシテを舞う |
1989年 | 三浦工業㈱の社長を退任、会長に就任 三浦工業、東京・大阪の両証券取引所第一部に上場 陶板画の勉強を始める |
1990年 | 財団法人三浦教育振興財団を設立し理事長に就任 工房・窯炉第二号を建築。 陶板画の制作を始める |
1992年 | 東京アートエキスポ展に出品 |
1993年 | 第二回国際コンテンポラリー・アート・フェアに出品(第三回、第四回にも出品) |
1994年 | ニューヨーク、キャスト・アイロン・ギャラリーにて個展開催 |
1995年 | ニューヨーク、HLW ギャラリーにて個展開催 東京・銀座、川上画廊にて個展開催 |
1996年 | ニューヨーク、キャスト・アイロン・ギャラリーにて個展開催 『三浦保陶板画作品集』刊行 東京・銀座、東京三菱銀行・銀座通支店のウィンドウに作品を展示 9月9日、死去 従五位勲四等旭日小綬章受章 松山三越にて「追悼 三浦保創作の世界展」開催 |
陶板画を制作中の三浦保
1987年、三浦保は恩師の藤井久雄の傘寿の祝いの舞台で、
『安宅』の主役であるシテ(武蔵坊弁慶)を演じた。