この度、愛媛県出身でパリ在住の芸術家、濱田亨氏の作品展「変貌の軌跡」を開催させていただくことになりました。
濱田氏は1972年、19歳で単身フランスへ渡り、すぐにイタリアで彫刻の勉強をされ、フランスに移り絵画制作に力を注がれたとお聞き致しております。片道切符での渡欧は、ご本人は自信に溢れ、運命を信じていたとは言われていますが、言うに言われぬ不安を抱えてのまさしく船出であったろうと推測します。その決断力と行動力に源は芸術に対する情熱だったのでしょう。その年代を想定したとしても、私たちの感覚では現実感に欠ける大冒険に思えますが皆様はいかがでしょうか。その意味でも氏のチャレンジ精神には敬服いたします。
2004年の夏、当館で開催いたしました企画展「岡本太郎展―永遠の挑戦」の芸術家、岡本太郎氏も、確か19歳の時パリに渡り芸術家の道を歩み始めた人だったと思いますが、経済的な環境は濱田氏の場合、岡本太郎氏とは格段に違ったものだったようです。しかし、岡本太郎氏がそうであったように、日本人とは違う「ものの見方」を身につけられたという意味では共通した域に達したのではないでしょうか。それにしても大きい夢と自信だけしか持たず、体一つで飛び込んでいった日本の若者を、ヨーロッパの人達は温かく見守ってくれたということのようですが、それには濱田氏の芸術家としての才能と努力、そしてご本人が生まれ持っている強運があったのではないかと思われます。そのことは、イタリアで彫刻を勉強し始めて2年後に、早くも(ご本人は当然と言われるかも知れませんが)ベルギーのコレクターの目に留まり、作品が売れ始めたことからも証明されていると思われます。
いずれにせよ自らの才能を信じ、ポジティブにものごとを捉えて芸術家の道を歩んで来られた氏の生き様は称賛に値するものと思います。
今展では、氏の愛媛、東京時代のものからイタリア、フランスで制作された作品を展示させていただいております。
愛媛の芸術を志す若い人たちにとっては、同じ道の大先輩としても大きい存在であろうかと思います。一人でも多くの芸術家の卵の皆さんにもお越しいただき、ご覧いただければと願っております。
この企画展開催に際し、作品を快くお貸しいただいた皆様、そして実行委員として展示作品の借受けなどにご尽力いただいたトゥデイズギャラリー殿、ベイスギャラリー殿に心よりお礼申し上げます。
展覧会名 | 濱田亨展~変貌の軌跡~ |
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開催期間 | 2007年4月18日(水)~5月20日(日) |
開館時間 | 9:30~17:00(入館は16:45まで) |
休館日 | 月・火曜日(4月30日は開館) |
主催 | ミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館) |
共催 | 株式会社ミウラ |
後援 | 愛媛県教育委員会、松山市教育委員会、愛媛新聞社、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、愛媛CATV、FM愛媛 |
入場料 | 一般800円(前売り600円)、高大生500円、小中生300円、未就学児無料 |
座談会
4月22日(日)午後1:00~
片道切符でヨーロッパへ船出した作家の今日に至るまでの芸術家人生を聞いていただき、芸術家として生きるために何が必要かを知ることが出来る良い機会になると思います。
※参加希望の方は、電話・メール・FAXでお申し込みください。
※定員になり次第、終了させていただきます。
※入場料のみでご参加いただけます。