「水」が起点の省エネ&トータルソリューション

貫流ボイラーのパイオニアが挑む
工場設備全体のエネルギー効率改善策

産業設備の様々な機器から、エネルギーロスや排水が出されている。それらを資源として再利用すれば、大幅な省エネと脱炭素化、低コスト化を実現できる。貫流ボイラーで国内シェア6割を誇り、その熱効率を98%にまで高めてきた三浦工業が、水とエネルギーの常識を変えるソリューションの提供を開始した。

貫流ボイラーのシェア約6割を誇るミウラが水を変革

クリーニング、食品加工、滅菌洗浄など、ボイラーは産業活動のあらゆる場面で不可欠なエネルギー源だ。三浦工業は、従来のボイラーより圧倒的に熱効率が高い「貫流ボイラー」をいち早く世に出した。貫流ボイラーはボイラーの市場を塗り替え、2019年には蒸気ボイラー市場の約8割を占めるまでに成長した。その約6割が、三浦工業の製品だ。(2019年3月三浦工業調べ)
三浦工業では、自社ボイラーが出しているCO2は、年間約3000万トン。これは日本全体が排出するCO2の約3%、産業界に限れば約10%に相当すると算出しており、同社にとって、脱炭素化と省エネは重要なテーマだ。
同社は技術開発によって貫流ボイラーの熱効率を改善し、98%にまで高めてきた。しかしそれ以上に効率を高めようとすると、経済性が大きく損なわれる。
そこで、同社は開発の視野を広げ、ボイラー単体ではなくボイラーを含む工場設備全体のエネルギー効率を改善する戦略に出た。それが、三浦工業が掲げる「トータルソリューション」だ。

三浦工業株式会社 
熱利用技術ブロック ブロック長 
山本 英貴 氏

熱利⽤技術ブロック⻑の⼭本英貴⽒は、「産業設備の様々な機器から、エネルギーロスや排⽔が出されています。それらを資源として再利⽤することで、⼤幅な省エネや省資源化、省⽔化が可能になります」と語る。同社はその核⼼を⽀える仕組みとして、「トータルソリューション」の提供を強化している「機能⽔や純⽔の低コスト製造」「排⽔からの⾼効率な熱回収」「IoTによるエネルギーロスの監視」の3つの機能を備え、設備全体のエネルギー効率を⾶躍的に向上させる。貫流ボイラーの開発で培ってきたエネルギー活⽤と⽔処理、保守管理のノウハウを統合し、企業のSDGsへの取り組みにも⼤きく貢献する。

製品のベストミックスで造水の効率化と排水の再利用を同時に実現

例えば、設備で使われる純水を低コストで製造し、安定的に供給する「MRO-C」、設備内で発生する低温廃水から熱を回収、再利用して廃熱を抑制する「VH」、クラウド経由で機器をモニターし、エネルギーロスと異常を可視化する「MEIS CLOUD®」(メイスクラウド)。これらを企業のニーズや環境に合わせて最適に組み合わせ、省エネや脱炭素化を加速する。

三浦工業株式会社
 アクア技術ブロック ブロック長
 野上 康雄 氏

RO装置「MRO-C」は、逆浸透膜に一定の圧力をかけて水を通し、様々な純度の機能水を作る。それに電気脱イオン処理(EDI)を組み合わせ、高純度な純水を低コストで安定供給できる。独自のセンシング技術とコントロール技術を最大限に有効活用し、排水を大きく削減した。

アクア技術ブロック長の野上康雄氏は、「旧製品『MRO-B』は1世代前の製品に比べて造水コスト21%削減でしたが、今回の『MRO-C』は35%削減しています」と胸を張る。

ヒートポンプ「VH」は、低温廃水の熱を効果的に再利用する。レトルト食品や缶飲料などの製造工程では、ボイラーで作った約130度の蒸気で加熱殺菌している。その後、製品の冷却に使用した冷水が50~60度の温水となって排出される。従来は、この“ぬるいお湯”から熱をうまく取り出すことができなかった。
そこで、三浦工業は従来のヒートポンプに独自の熱交換器を2基追加し、この“ぬるいお湯”から2段階で熱を取り出す仕組みを考案。ボイラーへの給水に再利用し、一般的なヒートポンプの2倍を超える熱効率を実現した。10度という低温の廃水からでも熱を回収でき、最大75度の熱水を作り出す。

三浦工業の「トータルソリューション」の一例
純水をはじめとする機能水から、排水リユースまで様々な水処理機器を提供し、省エネや脱炭素化を大きく推進する

IoTとクラウドで設備全体のエネルギー使用状況を可視化

「MEIS CLOUD」は、IoTを活用して設備内のあらゆる装置のエネルギー使用状況を可視化する。従来もPCベースの監視システムは提供してきたが、「MEIS CLOUD」はクラウドにデータを集約し、時間や場所、デバイスを問わずにデータを活用できる利点がある。
「装置ごとの効率を高めるだけでは、省エネや脱炭素を極めることはできません。運用面を含む全体としての効率を考える必要があります。工場全体のエネルギーの使用状況を可視化し、無駄を発見して対処できる仕組みが不可欠です」(山本氏)
「MEIS CLOUD」は、データの収集と分析にクラウドを活用することで、低コストかつ効率的な監視を可能にする。すでに稼働している従来製品にIoT機能を追加し、監視対象に含めることも可能だ。
三浦工業の強みは開発力だけでなく、現場で実施してきたメンテナンスサービスの実績とノウハウにもある。「お客様とリアルなつながりを生かし、データに基づく確実な予防保全を実現します」(野上氏)。水や熱まわりの管理を丸ごと同社にアウトソーシングし、自社の従業員を本業に集中させるようなユーザー企業も増えているという。
また、山本氏は「自社製品だけで、お客様のあらゆるニーズに応えられるとは考えていません。脱炭素への機運が高まる中で、今後、他社とのアライアンスが重要になってくると思います」と述べる。パートナー企業との連携を模索しながら、ユーザーや社会の大きなニーズと期待に応えていきたいという。

この記事は、日経BPの許可により、2021年6月28日から7月30日まで「日経ビジネス電子版SPECIAL」に掲載された広告から抜粋したものです。
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