ボイラ効率105%水素専焼小型貫流蒸気ボイラ「AN-2000BS」新発売
~東京都低NOx・低CO₂小規模燃焼機器「グレードHH」を取得~
2023/10/25
ニュースリリース
産業用ボイラのトップメーカーである三浦工業株式会社(東京本社:東京都港区 、代表取締役:宮内大介)は、更なる高効率化・低NOx化を実現する水素専焼小型貫流蒸気ボイラ「AN-2000BS」(以下、「本製品」という。)を開発しました。10月より受注を開始し、24年度より発売します。
本製品では燃焼用空気を高速で噴出することで炉内の燃焼ガスを誘引して、燃焼反応を緩慢化させ、局所的な火炎の温度上昇を抑制する低NOxバーナをさらに改良した新規バーナを搭載しています。
従来は、排気ガスの一部を吸気に取り込むEGR※1や、バーナへの水・蒸気噴霧といった手法がとられていましたが、これらを用いずに全運転範囲においてNOx排出量40ppm以下(O2=0%換算値)を達成し、2023年9月21日に開催された「東京都低NOx・低CO2小規模燃焼機器委員会」の認定審査を受け、この度、相当蒸発量2,000㎏/hクラスでは全国初となる東京都低NOx・低CO2小規模燃焼機器「グレードHH」を取得しました。
▲水素専焼小型貫流蒸気ボイラ AN-2000BS
特長
(1) 燃焼時CO2排出量ゼロ
水素は燃焼時の生成物が水のみであるため、再生可能エネルギー由来の水素を使用することで、CO2排出ゼロのグリーンスチーム🄬として活用ができます。
(2) ボイラ効率105%(LHV※2)
現状、水素は従来燃料と比較して一般的に高価であり、また、供給量も拡大の途上にあることから、水素をより経済的かつ有効に利用するためには、ボイラ効率の向上が必要となります。
本製品では、潜熱回収が可能な高効率エコノマイザ※3を搭載することにより、ボイラ効率105%(LHV)を実現し、当社従来機種と比較して、燃料消費量を約1割低減しました。
また、高速連続制御(i-HV🄬 アイハブ)の採用、ターンダウン比※4の拡大により、定格効率だけでなく実運転効率の向上も図っています。
(3) NOx排出量40ppm(O2=0%換算値)以下
東京都低NOx・低CO2小規模燃焼機器「グレードHH」取得
脱炭素燃料として注目される水素は、火炎温度の高さから排ガスNOx濃度が増大することが課題として挙げられており、都市部をはじめとして環境規制に適応しながら脱炭素化を実現するためには、低NOx化の達成が求められます。
本製品は環境規制の厳しい地域へも導入が可能なため、お客様の脱炭素化の推進に貢献します。
(4) 様々な水素供給形態に対応
水素供給には、外部から水素を調達して利用されるケース、工場内で副生物として発生する水素を有効活用されるケース、水素製造装置を用いてオンサイトで水素を製造・供給されるケースといった様々な形態があります。
また、水素導入時においては、既存燃料を使用したボイラとの併設となるケースも少なくありません。
弊社の台数制御装置を用いることで、本製品と既存ボイラを組み合わせて蒸気供給することが可能となり、水素供給量に応じて両者を切り替えて使用することも可能です。
既存設備を活用しながら段階的に脱炭素化を進めていく、設備の安定稼動を維持しつつ水素を無駄なく使用する等、お客様のニーズに応じたボイラシステムの構築を実現いたします。
(5) 水素燃焼のための安全装置
お客様に安全に、安心して使用いただけるよう、各種安全装置を搭載しています。
・万一の逆火を防ぐために、ISO16852※5に準拠した、消炎性能の高い波板構造の逆火防止器を標準採用しています。
・燃焼を停止した際には、水素配管中で残留水素と空気が可燃混合気にならないよう、窒素にてパージする機能を設けています。
・水素配管に使用する機器は防爆仕様もしくは本質安全防爆構造を採用しています。
主な仕様
ボイラ種類 |
- |
小型ボイラ(多管式貫流ボイラ) |
|
取扱者資格 |
- |
事業主による「特別教育」受講者以上 |
|
最高圧力 |
MPa |
0.98 |
|
使用圧力範囲 |
MPa |
0.49~0.88 |
|
相当蒸発量 |
kg/h |
2,000 |
|
ターンダウン比 |
- |
1:5 |
|
燃焼制御方式 |
- |
高速連続制御(ⅰ-HV) |
|
燃料 |
メイン |
- |
水素 |
パイロット |
- |
13AまたはLPG |
|
ボイラ効率※6 |
% |
105 |
|
乾き度 |
% |
99.5以上 |
|
排ガスNOx濃度※7 |
ppm |
40以下 |
弊社では、2017年より水素を燃料とした貫流蒸気ボイラの発売を開始、2021年には全国で初となる東京都低NOx・低CO2小規模燃焼機器「グレードH」を取得するなど、2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。
また、より大規模な水素利用促進のため、2021年度よりグリーンイノベーション基金事業における国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「カーボンニュートラル実現へ向けた大規模 P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発」への参画を通じ、更なる高効率化・低NOx化を実現する水素専焼貫流蒸気ボイラの開発を進めてまいりました。本製品には本NEDO 助成事業の成果を活用しております。
今後も製品を通じて、産業熱利用分野におけるCO2排出量低減を促進し、脱炭素社会実現に貢献してまいります。
※1 外部EGR:Exhaust Gas Recirculation(排ガス再循環)。
※2 LHV:Lower Heating Value(低位発熱量)燃料が燃焼した際に生じるエネルギーを表す基準で、燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を除いたもの。
※3 エコノマイザ:排ガスの余熱でボイラの給水を加熱する装置。
※4 ターンダウン比:最低出力と定格出力の比。
※5 ISO16852:フレームアレスター ―性能要件、試験方法、使用制限
※6 ボイラ効率:(運転条件)燃焼負荷率=100%、圧力=0.49MPa、給水温度=15℃、給気温度=35℃
※7 排ガスNOx濃度:排ガスO2=0%換算、実測値
関連ページ
- 2021年9月1日発表のニュースリリース
https://www.miuraz.co.jp/news/newsrelease/2021/1116.php - NEDOグリーンイノベーション基金
https://green-innovation.nedo.go.jp/ - 東京都環境局公式サイト:低NOx・低CO2小規模燃焼機器認定制度
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/torikumi/nox_co2/index.html
該当する主なSDGs目標
以上
20231025_水素専焼小型貫流蒸気ボイラ「AN-2000BS」新発売.pdf
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